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ベテラン起業家とお話をする機会があったので、インタビューをしてみた

2016年7月18日

ある日、MakeLeaps創業者のウィンダー・ジェイさんからお問合せがあった

MakeLeaps創業者のウィンダー・ジェイさんから、Angel Listに登録していた自分のプロフィール経由で、このブログに興味を持って頂けたらしく、お問い合わせがあった。当初、ジェイさんとやりとりしていたのは6月の前半だったが、その頃に僕はひどい風邪で、咳が止まらなくなっていた(病院で血液検査をした結果、アレルギーが判明し、今ではハウスダストアレルギーだと思っている)、最悪なことにジェイさんと約束した当日に一番咳がもっとも悪化し、ドタキャンをしてしまい、予定が先延ばしになってしまった。その後、諸々の調整があり、約1カ月後の7月14日にジェイさんとお会いすることとなった。

 

六本木ヒルズでビールを飲みながら楽しくお話

ジェイさんとは、六本木ヒルズで楽しくビールを飲みながらお話をした。普段の仕事では何しているのかとか、JavaScriptは趣味なのかとか、とても嬉しいことにジェイさんは僕について多くのことを聞いてくださった。ジェイさんがお忙しいところかなり恐縮であったのだが、僕も起業家のジェイさんにはとても興味があり、聞きたいことたくさんある。僕はジェイさんが有名かつベテランの起業家ということを理解していたので、インタビューの質問を用意しないはずがない。なので、ジェイさんにぜひ聞いてみたい11の質問を用意してインタビューをしてみた(日本語の他で頑張って下手くそな英語でも用意をした)。ジェイさんもお忙しい方なので、全ての質問とまではいかなかった。ジェイさんには今回3つの質問をしたが、全てに対して丁寧に答えて頂けた。

 

ウィンダー・ジェイさんへのインタビュー

Q1. 僕のブログのどこに興味を持ちましたか?

答え

ジェイさん「ブログのデザインが良いところだね。あとは、ソフトウェアについて書いている内容が面白かったからかな。あなたに自身に興味をもったポイントとしては、Angel Listのプロフィールを持っている、かつブログも更新しているというところがポイントだったよ」

コメント

記事が面白いというのは、素直に嬉しい!起業家が見て面白いと思えるような記事を提供できたということが、PV数には反映できないやりがいをブロガーとして感じる。個人的には、PV数よりももっと重要視していることがある。それは、ブログに対するコメントでのコミュニケーションだったり、ブログを見たことによって生まれる、このような出会いなど、ブログが起点となったコミュニケーションだ。そもそも、ブログを始めた当初は広告を設置して少しくらいは稼ぎたいなんて気持ちもあったが、現在は広告を設定していない。たかが知れている額だと思っているし、またそのうち広告を設置するかもしれないが広告費で利益を生むということはあまり考えていない。あとは、案外Angel Listへ若手エンジニアについては意外と登録していないんだということがジェイさんのコメントで分かった。日本人でスタートアップに興味がある人は、Angel Listに登録してみると良いんじゃないかと思う。

 

Q2. なぜ日本でスタートアップをしたのですか?

答え

ジェイさん「僕は19歳のときに日本に来て、武道を学んでいた。日本は素敵な国だと思ったね。その後、日本で就職活動をした。日本での就職活動はそれは大変で、結局120社くらい受けて1社内定して就職をした。会社では1年間働いた。その後は、フリーランスをやって、それで、会社立ち上げの際のオフィスの電話からインターネットまで、オフィスのインフラ整備を全てをおこなう仕事をやった。その後は色々やってたら、その仕事の規模が拡大して、大きな会社の代表みたいになってたんだ。やがて業務が大きくなったときに、そこで請求書管理がいかに面倒臭いかということに気づいたんだ。請求書の仕事だけで、1週間分の作業が3年くらいに思えるくらいになって、これは解決しなければならない問題だと思った。でも、当時はこの問題をうまく解決する方法がなくて、自分がやるしかないと思い、そのためのソフトウェアを作ったんだ」

※ジェイさんの経歴については一生懸命聞いていたものの、メモが間に合ってなかったので、少しおかしいところがあるかもしれない。基本的には正しい情報として、下記のような他の記事も参照することを推奨。

About Us | MakeLeaps
https://www.makeleaps.jp/about-us/

第119回 見積・納品・請求書をかんたん作成 クラウド型請求ソフト MakeLeaps(メイクリープス) | クリエイターズステーション
http://www.creators-station.jp/curiousity/26844

コメント

起業家には誰しも創業ストーリーがある。ジェイさんのそもそもの起業の理由でいうと、ジェイさんの場合は自分自身が解決しないと自分自身のビジネスもそうだし、今後他の多くの方々が大変であろう問題に突き当たった。しかし、現実にはその問題への適切な解決策がなかったので、自分で解決策を生み出し、解決する他なかった、ということだ。あとは、スタートアップの拠点に日本を選んだ理由としては、ジェイさん自身が日本が好きで、日本の環境が良いと思ったのが大きいかもしれない。もしかしたら、価値観として「好きな場所でスタートアップする」というのも一つ大切なことなのかもしれない。よくシリコンバレーに憧れる風潮があったりするが(僕もその一人だが)、日本が好きだとしたら、日本で起業するのもいいのかもしれない。今では、MakeLeapsは僕みたいな人間から見るととてもうまくいってそうに見える。でも、MakeLeapsを始めた当初は「請求書の作成から管理までがこのソフトウェア1つで」という触れ込みが理解されなく、辛い時期もあったそうだ。

あとはこの質問に対する回答の話の途中で、コメントで印象的だったのが、「日本人はモノづくりはうまい、だがソフトウェア作りは下手」というコメントだ。ジェイさんからすると、モノづくりとソフトウェアは本質的に異なるということなのだ。これについては、僕も日本で生活をしており、長らく日本の工業製品に触れてきたために、理解ができる。おそらく、機能性は日本製品は高機能だが、一方で製品デザインやソフトウェアデザインだったりとか、製品のユーザビリティに対しての認識が低かったりとか、そういうことだろう。製品の機能性がいかに優れていたとしても、その使い方を使用者が知らなければ、そもそも使いこなせない製品となってしまう。日本人は、製品を作るという技術的には優れているが、ユーザビリティについての意識が低く、トータルすると製品の使い勝手が悪いものを作りがち。そういう日本人のモノづくりの特性をジェイさんのコメントから感じた。

 

Q3. 日本人エンジニアと海外のエンジニアの違いは何ですか?

答え

ジェイさん「難しい質問だね。色々な人がいるから、一括りには言えないけども、傾向的にはクリティカルシンキングに違いがあるかもしれない。上司からの指示待ちにならないで、自分で行動して動くのは日本のエンジニアよりも海外のエンジニアのほうが多いかもしれない。あとは、自分の意見は上司に対しても堂々と言う事かな。例えば日本人の場合、上司だったら偉いみたいな感性で、上司に対してハッキリ物事を言うのを控えることが多いのかもしれない。でも、海外のエンジニアの場合はたとえ相手が上司だとしても自分の意見はハッキリ言うよ」

コメント

ジェイさんは悩みながら答えてくれた。良い質問ということだが、人にも様々なタイプの人がいるために、大雑把に回答するにも難しいことだろう。ただ、僕は日本人で、日本の会社で働いているので、日本のエンジニアのことしかほとんど知らない。海外のエンジニアがどういうものなのか、インターナショナルなエンジニアがどういうものなのか、それが日本人エンジニアとどう違うのかに非常に興味があった。ジェイさんの答えを聞いて少し安心だったのが、基本的には海外のエンジニアのほうがこの点で優れている、みたいな2点を伺えたので、そこが日本人エンジニアの弱点と認識できたのが良かった。あとは自分が海外のエンジニアに近い思考ということが分かった。仕事で上司に対しても意見する時はするし、基本的には放置の状態になっていたり、タスクを丸投げでぶん投げられていても仕事はするほうだ。というか、自分的にはあまりガチガチに管理されても困るので、自由度や裁量があるほうが仕事がやりやすいと思ってしまう。あとは、言われたのが、クリティカルシンキングの思考性があり、上司に臆することなくコミュニケーションをするような人材が、それが発揮できない環境に居るのだとしたら、それができる環境に移動したほうがよいということだった。僕もそれについてには色々と思う節があるので、賛成だ。

 

僕が受けた、先輩起業家からヒヨッコ起業家へのアドバイス

僕は起業家に数えられるような人間ではないのかもしれないが、現在は起業アイディアの1つのプロダクトを作っている。もしかしたら、起業家なのかもしれないのだが、ヒヨッコだ。現在進行形でプロダクト作りにのめりこんでいる身としては、とても耳が痛い言葉を起業家の先輩であるジェイさんより頂いた。むしろ、この言葉こそ飲み込み、成功するためにちゃんと姿勢を正していかないといけないと思ったので、頂いた言葉を他の起業家に参考になるように書いておく。

  • プロダクトのアイディアはしまっておかず、むしろどんどん言ってフィードバックを受けたほうがいい。プロダクトのアイディアが盗まれてしまうことより、プロダクトが完成した後で誰にも使ってもらえないことのほうがより大きなリスクだ
  • エンジニアの多くが陥りがちなのが、プロダクトが必要とされるかをよく考えないうちに、プロダクトを作ることに集中してしまうことだ。感覚的には、手を動かしているほうが何かが進んでいるように思えてしまうが、作ろうとするプロダクトが本当に必要とされるプロダクトなのか、それを使ってくれそうな人たちに事前に聞いてみることも重要だ
  • Product Market Fitという有名な言葉がある。Product Market Founder Fitという言葉で、プロダクトが創業者にどれだけ合うかという言葉もある。何か事があるたびに、Product Market Founder Fitの答えを自分なりに持っているかでモチベーションが全然違うし、推進するプロダクトが自分にとってもフィットするプロダクトなんだということを、創業者は常に考えておく必要がある
  • 人の言葉を聞きすぎるのも問題で、絶対に無い!なんて立て続けに言われてもあることもある。MakeLeapsも当時はその製品コンセプトが否定されたが、今となっては必要とする人がいる(人の意見も聞き過ぎには注意!ということだろう)

※Product Market Fitについて
tech venture business » 【Keyword】プロダクト/マーケット フィット
http://www.techventurebusiness.com/archives/754

僕も、実際のところステルスモード状態で製品を作ってきたわけで、アイディアを誰にも話さず、ずっと秘密にしていた。そのため、その場ですぐにはジェイさんにアイディアを述べることができなかった。ジェイさんが言っているのは、製品を頑張って作ったとしても、結局人に使われないものを作っても意味がないよ、という至極当然の話だ…とても耳が痛い!でも、これはベテラン起業家の経験からくる、多くの起業家が直面してしまう間違いを犯さないための先駆者の有益な知見だ。耳が痛くて聞かないフリをするのも自由だが、成功する確率を少しでも上げたければ、起業家の先人の知見に素直に耳を貸して、アドバイスの通りに行動してみたほうが良いだろう。

ちなみに、僕みたいな「製品のアイディアを隠してまずは製品を作ってしまおう」というパターンは実際によくあるらしく、ジェイさんからすると、仕方がないね、良くあることだよというコメントだった。それくらいには陥りやすい間違いなのだろう。

 

ジェイさんとお話して、起業家への道が拓けた気がする

起業家はオープンで、発想が豊か、とジェイさんとお話をして思った。例えば、前述の僕の製品の開発についても正直言って、何もかも一人で抱え込んでいたというのが実際のところだ。もし製品を作っていない状態で第三者へ話をして、アイディアを盗まれて先に作られたらとても困ってしまう…。製品のプロトタイプができたら見せてプレゼンしたほうが良さそうだろう…と、本気で考えていた。ジェイさんは、「アイディアを盗まれるよりももっと大きなリスクがあるよ!先人から学んで!」と教えてくれたのだ。まさに、起業家でありがちな失敗のルートを進んでいた自分としては、冷水を浴びせられた感覚になった。でも、事実を伝えて頂いて、逆にそれは優しい事だと思った。後を進む人たちが勘違いをして進むところを、ジェイさんは自身の経験談をふまえ、起業家の先輩として何の変なこともなく教えてくれたのだ。

あとは、これは僕個人の問題なのだが、何かしら手を動かしていないと精神的に辛いことが分かった。ジェイさんのいう「エンジニアがはまりがちな行動」に近いものなのかもしれない。ジェイさんとのお話が終わった後、すぐに近くのスターバックスに入りこの記事をまとめた。あれから、さらに何度も推敲している。これを書いているのは土曜日だが、今日はジェイさんとお話をした教訓から、自分の開発している製品のコンセプトや必要とされているのかを今一度考えるために、開発の手を止め、スケッチブックを取り出し、これまで考えてきたが散り散りになっていたアイディアをまとめていた。実際にアイディアをまとめるのは楽しいし、自分の製品が本当に必要とされるのか、自分なりに考える良い機会になっていると感じている。だが、やはり実際の製品の設計だったり、コーディングをしていないと何か不安に駆られるような感じがある(現状2日止まっているだけだが、なんだかとても辛い)。これはもはやエンジニアの思考に寄った人間の精神の病気なのかもしれないが、気晴らしに積ん読状態になっていたReactの参考書を読んでみたら少し気分が落ち着いた。

最後に、僕のような考え方がエンジニアに寄った起業家は、ネットワーキングやコミュニケーションを少し意識してみると良いと思う。これは実は、ジェイさんのお話以外にも、つい最近会った僕がとても信頼している方からも同様のことを言われたので、僕個人としては今後は注意しようと思う。僕はジェイさんからお話を伺う前までは、起業家たる者、山ごもりみたいに、家やオフィスに篭ってでも、思い立ったら「早く」製品を作るのが正義とばかりに思っていた。しかし、スタートアップもビジネスだ。実際にはそうではなくて、正しい情報をもとに、作ろうとする製品をより市場に求められるように最初から作るということが、成功させる上で最も重要だということが分かった。それは、自らの考え方にのめり込んでいる状態では決してできない。もしかしたら、天才的なひらめきによるアイディアと、ものすごい運があったとして、結果的に市場から求められた製品を作れる場合もあるかもしれない。でも、製品が成功する確率をコンスタントに上げていきたいのならば、最初から製品が人々に求められそうかを聞くほうが確実そうだ。それに、聞き回るなんてことは、才能などなくても、努力次第で誰にでもできるだろう。そうなると、コミュニケーションやネットワーキングなどの、エンジニアに寄らない、ビジネス寄りの働きかけにも多少目を配る必要もあると思えてくる。エンジニア起業家は、モノを作るのが早いのはそれは良い事この上ないと思うのだが、他のコミュニケーションの部分もある程度気にしていたほうがバランスが良さそうだと思った。

mmiyauchi

プログラムを書きながらTranceを聴くのが良いですね。みなさんも聴いたほうがいいですよ、Trance。EDMよりハードトランスでしょ。

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