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ブラックスタートアップと関わった話

2015年2月9日

国内でスタートアップという言葉が広まるにつれ、スタートアップの定義がもはや曖昧になったと思う。

定義が曖昧になったことで、スタートアップという言葉が良い意味でも悪い意味でもカジュアルに使われ、言葉自体を耳にする機会が増えたと思う。そして、実際にスタートアップと関わる人も増えたと思う。

 

その弊害か、スタートアップという形容をした組織に関わってみて、その組織が会社組織としてはまずありえない組織も出てきている。そういった組織は、スタートアップとして定義するにはどうかと思うので、そういうスタートアップをブラックスタートアップとして定義していくつかの実例もとに現状を伝えてみる。

 

さて、そもそもスタートアップとはどういうものか、自分がどう認識しているかを説明したい。

定義には諸説あると思うが、自分的には、こうである。

 

 

1. 挑戦的な課題について事業を起こす集団である

世に解決されていない問題や、高度な問題に取り組む。または、すでに事業としてはあるが、社会をさらに良くするために少数の集団ならではの方法で事業をおこなう。

 

2. 創業者は研究者、技術者またはクリエイター(デザイナーなど)である

スタートアップの創業者は解決しようとする課題に対し、自らの特化した能力を持って課題の解決・事業化に取り組む。

 

3. 創業時のチームは少数である

創業者のチームは2〜3名程度である。

 

ちなみに、国内でスタートアップとは何かについてまとまっている記事で、下記がよくまとまっていて、なおかつ納得感があったので紹介をする。

 

スタートアップとは何ぞや? | SEO Japan

http://www.seojapan.com/blog/what-is-startup

 

本国の著名人がいうスタートアップの定義からすると、自分の認識でもまだまだ認識がそれとは離れていることが分かる。Dropboxでもスタートアップとして評価されたりするのは、僕の基準だとカバーはできない。

 

 

といことで、本題の僕が主張したいブラックスタートアップについてである。

ブラックスタートアップと書いたが、僕の経験をもとにブラックスタートアップをその定義を書いていく。定義的には長いので、ざっくり言うとタダ働き前提の組織で、なおかつ事業内容が決まってない集団だと思っているくらいでいい。

 

 

1. ビジネスモデルがあってないようなもの

ビジネスモデルは創業時ないと言っても過言ではない。ビジネスモデルのコアな部分でも調整がよく入る。

 

2. 創業者が研究者、技術者またはクリエイターではない

創業者は研究したり、技術的な取り組みをおこなうような創造的な人種ではない。

 

3. 社外の第三者に頼ることが事業活動の一環になっている

創業者はネットワーキングを積極的に行い、人を介して事業をおこなおうとする。

 

4. 創業者は新規のメンバーやパートナーに対して、価値提供を考えていない

創業者は雇用者に対し、適切な契約を交わさずに口任せに約束をする程度で報酬を支払わない。

 

5. 約束するする詐欺(無期限)をおこなう

4に起因するが、いつまでも「契約内容については考えている」しか言わず、保留にする。

 

6. 「自称」スタートアップである

そのまま、自称はスタートアップと表現しメンバーをリクルートをする。

 

 

おいおい、そんなひどい組織あるのかよ、お前の頭のなかの小宇宙だろう?クソエントリーもたいがいにしろよ…と、思われる方もおられるだろう。

しかし、上記は現実に僕が自称スタートアップと関わってみてきた複数の経験をもとに定義したものである。ブラックスタートアップは現実に存在する。

 

 

ここから、ブラックスタートアップと関わった話である。

僕がブラックスタートアップと一番ディープに関わった体験談をご紹介しよう。

 

2014年夏、信頼のおける知人から、学生が会社を登記してしまったと連絡があった。

事業立ち上げに際し、Webのディレクションの知見と少しばかりの技術の知見のある人間に相談がしたいということで、僕が候補に上がった。学生とはライトな感じでコミュニケーションが始まった。

 

(この時点で、チームが学生、という時点で幾分かの地雷臭を感じる方もおられるだろう。偏見かもしれないが、その感覚はわりと正しいのかなと今となっては思う)

 

学生のチームの構成は学生二人のうち、創業者が当時大学3年生で、CEOが女性である。その他、もう一人立ち位置がよく分からない状態で協力をしている男子学生がいた。二人に突出したスキルはなく、学生団体的な活動をするような感じの学生である。なので、合計二人のチームであった。

 

創業者から話を聞いていくと驚愕の事実が次々と明らかになった。

まず、ビジネスモデルがないのに起業をして、仲間を募っていたのである。

当時の話では、考えているのが、特定分野(これは決まっていた)でのネイティヴアプリケーションでのサービスのローンチである。そして、そのビジネスモデルを一緒に考えて、実際に開発を自分が作り出すまで手伝ってほしいというオーダーだった。自分としては、だいたいサービスの構想が固まっていてあとは細かい仕様を固める部分で声をかけられたのかと思ったが、それ以前の問題であった。

 

こうして、のちのブラックスタートアップとのお付き合いが始まったわけである。

 

2014年夏から秋にかけて、ビジネスモデルについてアドバイスをしていた。

最初は人の紹介から、ライトなコミュニケーションで始まったため、報酬や立ち位置にこだわらず頑張っている学生の集団として謙虚に接していた。僕の知見と彼らの努力の結果か、秋を終える頃にはアイディアの方向性が初期よりだいぶマシな方向で調整されていたと思う。

そして、言うべきタイミングで報酬の話をした。それは売上が立ってから、という話であった。僕も報酬については固執するところではなかったので、とりあえずは、の約束で当時は良いと思った。

 

しかし、この「報酬については今は曖昧でも…」の認識がすべての間違いの始まりであった。

ここで具体的な約束をしなかったことを良いことに、今後、創業者>>僕のパワーバランスにジレンマに悩まされることになる。

 

そして、2014年冬。

ビジネスモデルがだいぶ固まってきており、パートナーとして組む企業としての候補がいくつかあることを告げられる。パートナー候補は、特定業界のトップメーカー、技術系ベンチャー、ベンチャーとは縁がなさそうなお堅いインキュベーター的な企業みたいなバラエティにとんだ面々であった。

ビジネスモデルはありふれてもいないが、それほど面白い内容のものではなかった。むしろ前述のパートナー候補企業のバックボーンが強く、それがビジネスの下支えになって一発当たりそうな予感をさせた。

 

僕個人のスタートアップの認識としては、冒頭で述べた通りで、この時点で全くもってスタートアップらしい感じはしなくなっていた。アドバイスをし始めて何ヶ月か経過し、報酬の約束もなければ、時間も使っていたしモチベーションは下がっていた。

 

しかし、それでも、これが和製スタートアップのやり方なのかな?…と、まずはあまり先入観を持たずに取り組んでみようと思った。なので、当初の予定通り、開発をしますよと創業者と約束をし、実際に開発に際しお金と時間を使って学習と準備を始めた。

 

 

年が明けて2015年である。

パートナー候補企業への紹介を前にし、新年の打ち合わせでパートナーとして約束をきちんとせず、パワーバランスを調整していなかったことがここにきて裏目に出はじめる。

 

創業者が、僕がメンバーにならないと今後関わることができないと言い始めた。

理由としては、同じテンションとモチベーションを共有したい…みたいな内容だったと思ったが、とにかく主張として曖昧な内容であった。メンバーになることを推奨する一方での、僕への批判としては、僕がたまに契約内容とかそういうお金の話をチラチラ出すがそれがNGで、メンバーとして同じ状況(要するに金がない状況を理解せよ)でやってほしいというのもあった。

現実に何も約束をせずに何かに協力をするということは、協力する側にとっては保証されるものは何もなく、至って不利な状況というのを無視した理論だ。これには納得ができなかった。

 

僕には不利な内容を押し付けられてはいるものの、僕も安易には引けない。

なぜなら、共に時間をかけ練ってきたビジネスモデルを、契約を交わしていないことを良いことにアドバイス料0でタダで持ち逃げする、と堂々と言っているのだ。

なので、メンバーとして正式に所属をすると宣言をした。

 

 

この瞬間、僕の中でブラックスタートアップが誕生していた。

 

 

そして、ブラックスタートアップは片鱗を見せたと思ったら、その後もいかんなくその才能を発揮していった。

 

パートナー企業候補2社(参加者が代表ないし、部長クラス)に僕を紹介するはずの打ち合わせでは、パートナー企業にビジネスモデルの甘さについて指摘をされ、実質創業者が望むパートナーとしての付き合いを簡単に拒否をされた。

 

要は、創業者の口だけが先行していて、誰かの力を使って自分のビジネスをすることだけを考え、パートナーへの価値提供を考えていなかったからである。話の分かる社会人の僕が出てきたそのタイミングで、パートナー候補企業がすぐに拒否姿勢をとっただけの話だ。

僕についてもそうだったが、創業者はとにかく利他的ではなく、利己的で、「自分のビジネスの成功」にしか興味がないようであった。

 

 

この打ち合わせの件以来、細かいチーム内の相談でも僕と創業者は軋轢を生むようになっていた。

 

 

そして、僕が加入後わずか一ヶ月で脱退するきっかけとなった2015年2月の出来事である。

エンジニアのリソースはもっとあったほうが良いという創業者の独断で、新しい加入メンバー候補の技術者との顔合わせがあった。紹介されるエンジニアはハードウェア系のエンジニアで、Web開発をするエンジニアとは遠い業界の人間であった。

 

僕は、紹介される彼に、学習能力があるのは前情報で理解をしていたので、加入に際し、モチベーションを確認するいくつかの質問をおこなった。

なぜハードウェア業界であるのに、Webに興味を持ったのか。ハードウェアで組み込みでいうとIoTの風潮があり、もっとあなたにとって良い取り組みがあるのではないか。など、年齢も30過ぎであったし、ご本人のキャリア構築にも関わる部分であると認識していたので、そこも考慮して提案もした。

 

 

だが、そのメンバー候補へのキャリアを考慮した情報提供が創業者としては気に食わなかったらしい。

とにかく、本人の同意はほぼ取れているのに、なぜそんな情報を提供するのかということだった。

とにかく、開発サイドからの意思確認やモチベーションなどどうでもいいから、開発をさっさとやるために段取りまで話す、というのが創業者から俺へのオーダーだったらしい。

 

ちなみに、加入するメンバー候補もメンバー候補で、はっきり物事を発言しないタイプだった。僕が彼に対してした「今、正式に加入することを宣言しますか?それとも、考えますか?」という問いかけについて、加入を考えるというのを皆の前で発言していたからだ。

 

 

加入者のモチベーションをちゃんと確認したり、キャリアまで考えた提案をもしてみたが、またしても創業者が新しい加入者にさえ、うまい話でもしようとしてことを進めていることを察し、僕はさすがに憤慨した。

 

 

こうして、この件で創業者と意見がはっきり別れ、僕は正式加入わずか一ヶ月でブラックスタートアップを離脱した。

 

結果的に、僕の知見と労力をタダでブラックスタートアップに提供し、僕がかけた時間に対して得られたものはほとんど何もなかった(使い物になるかならないか、パートナー候補でお会いした企業さんの名刺くらい)。

 

 

さらに悪いことに、創業者はこれで当然のようにふるまっているので、本人は反省をするそぶりはなかった。

今後もこのペースで被害者が出続けると思うと、なんだか悲しいばかりである。

 

 

ちなみに、この手の話は僕がライトに関わったスタートアップにもよくある話である。

今回の状況よりかはだいぶマシだが、資金がつきたが学生をうまく口説いてタダ働きを長期間させるのなんて実際に知っているだけで2社ほどある。それも、おそらくそれらのスタートアップの創業者も賃金を払う気がなさそうというのが今思うとよく分かる。

 

とにかく、このような状況は創業者が社会をフィールドにした壮大なオ●ニープレイをして周りを身勝手に巻き込んでいるようとしか思えない。これがタチが悪いことに、大人がやるのだから怖い。

 

自分への反省点はつきないが、自分的には下記3点を押さえて話をすれば、少しはブラックスタートアップに関わらないで済むだろう。

 

1. 関わる際にどういう立ち位置での協力なのか、契約を書面ですることを求める

約束をしても、口頭の約束では効力を発揮しない。効力を発揮するフォーマットで契約を結ぶ。

 

2. 創業者が営業職で自称スタートアップを名乗っている場合、まず警戒する

僕が知るブラックスタートアップの3社中2社が、元営業ないし、営業系の職種が合うと自負するの人間であった。無論、創業者自身が手を動かして作るなんてことはほとんどない。これはまったくの僕の主観なので、スルーで問題ないが、やはりビッグマウスでなんとかやっているんだなあと思った。

 

3. 自称スタートアップでも、自分のスタートアップの定義とあまりに合わない場合、関わらない

これは今回の一番大きな反省点で、自分自身の考えとだいぶそぐわないにもかかわらず、無理をして相手側に価値観を合わせて関係を築こうとしたのが間違いであった。

 

 

最後に、ブラックスタートアップはいとも簡単に人材を手放すが、その代わりに、タダ働き人員ならいくらでも歓迎するし、タダ働き人員をうまく口説く傾向があるんじゃないかと思う。

理由としては、僕はブラックスタートアップを離れたが、スキル構成や知っていることについて、後に入る人間のほうが知らないわけで、魅力的な部分といえば、僕よりも長時間、無賃金で働く(ちゃんとした契約をしないでもなぜか働く気満々)だったとことである。

とにかく、ブラックスタートアップは関係者への価値提供は考えない、もっと分かりやすい言葉でいうと無賃金労働をさせることへの執着と熱意はすごいと思う。

 

ブラックスタートアップはある意味とてもハングリーな組織なので、普通のスタートアップにはもう飽きて、アレすぎる火遊びをしたい人は一度見てみると良いかもしれない。

mmiyauchi

プログラムを書きながらTranceを聴くのが良いですね。みなさんも聴いたほうがいいですよ、Trance。EDMよりハードトランスでしょ。

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